NURSE'S WORDS 解説

 
筋肉注射      これは麻酔前投薬と呼ばれるもので、不安や恐怖を軽減または除去し、麻酔にかかりやすくする鎮静薬と、気道分泌を抑える抗コリン薬というものを使うのが主流です。これによって手術室にはいるころにはボーッとした感じになったり(なかには眠くなる患者さんも)のどや口が乾いたりします。前投薬が飲み薬や普通の皮下注射でないのは、筋肉注射が一番効き目が早くでるからです。
 
ストレッチャー   動くベッド。「先生!急患です!!!」と言ってドラマの看護婦ががらがらと走りながら押しているアレです。
 
乾いてきました   「筋肉注射」の項でも述べたように抗コリン薬の作用で、ほとんどの患者さんが「のどがかわいちゃって」と言ってきます。手術室では麻酔前で口の中や喉を乾いた状態にしておかないと、気管にチューブを入れるとき不都合なので水は飲めませんから、湿ったガーゼで口元を拭いています。
 
ゴムで結んで    後ろで一つに結ぶと、仰向けに寝たとき安定が悪いので、2つに結んで来たほうがいいですよ。
 
寒い        手術室内は通年25℃前後で設定されています。そう考えると少し暑い気がしますが、裸に着物1枚と薄着なのでほとんどの患者さんは「寒い」と言います。私たちはばたばたと動き回っているので汗をかくこともありますが、寒いと感じたら言っていただきたいです。手術中の低体温で麻酔のさめが悪くなることがあるんです(醒めないということはありません)。
 
血圧計       私のいる病院では自動血圧計を使用しています。2.5分ごとに一回、自動的に血圧を計ります。ちなみに正常な血圧は120〜130/70〜80です。
 
点滴         点滴は通常利き手と反対の手から入れることになっています。血圧計と同じ腕を使うと、血圧を計っている間は点滴の液が落ちなくなるので、血圧は利き手で計ることが多くなります。
 
クリップのような器械これは「パルスオキシメーター」というもので、指にカプッとはめるだけで血液の中にどれだけ酸素が流れているかを100点満点で計ってくれる不思議な器械です。吸光度の差を読み取って酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンを計るらしいですよ。絆創膏みたいにシールで巻く機械もあります。
 
背中から細いチューブこの方法で手術後の痛みを軽減または除去することを硬膜外麻酔といいます。実は全身麻酔で意識がなく本人が痛みを感じていなくても、身体はいたがっているようでそれが「手術ストレス」となります(血圧が上がったりするんです)。手術中から背中の硬膜外という場所に入っているチューブを通して計画的に麻酔薬を入れることでそれを抑えることができ、手術後も痛み止めとして大きな効果を発揮します。
 
横になり膝を抱え
  背中を突き出して
硬膜外麻酔をするときに、麻酔科医の腕はもちろんですがこの格好にうまくなれるかどうかで、処置の時間が変わってきます。まず横向きになりいわゆる「体育ずわり」というか「海老のように」というか「猫がこたつで丸くなる」というか、そんな格好をします。思いっきり「まる〜く」なればさっさと終わるでしょう。「腰椎麻酔」のときも同じ格好になります。
 
動かず       予想していない動きをされると、他の大切な神経に当たって何が起こるかわかりません。危ないので本当に動かないほうがいいです。深呼吸でもして身体の力を抜いているといいですよ。
 
麻酔科医の合図   麻酔科医が「じゃあ、だんだん眠くなりますよ〜」といって何をしているかというと、先程いれた点滴から麻酔薬をチューッと入れています。薬品名は「チオペンタールナトリウム」。短時間作用する強力な催眠薬で、某宗教団体で本来と異なる使い方をされていたアノ薬です。
 
だんだん      ちょっと前、「いくつまで数えられたか後で教えてね」といって全身麻酔に臨んだ少年がいました。少年は12まで数えることができました。
 
気管チューブ    口からいれて咽頭、喉頭を経て気管内にチューブの先を留置して、手術中呼吸の管理をするために入れるチューブのこと。麻酔から醒めたときはこのチューブが刺激となって、苦しい。
 
お小水の管     尿道を経て膀胱内にチューブの先を留置して強制的に尿を出すためのもの。抜けないように膀胱内で風船(バルーン)を膨らませられるようになっている。急性アル中で病院に運ばれたことのある人には有名。大人の人では通常5.3mmのものを入れる。
 
違和感       尿道にカテーテルが入っているときの感じはなんとも言い難い。「ん〜。おトイレ行きたくてたまんないな〜。ん〜。」という感じです。カテーテルが太すぎると違和感は強くなりますが、細すぎるとわきから尿が漏れてしまいます。
 
回復室       「リカバリールーム」ともいいます。患者さんが麻酔から醒めて、各種の防御反応が回復し、病棟へ搬送できるようになるまで管理、治療をします。
 
体の中には麻酔薬  麻酔をかけるとき最初は点滴から薬をいれますが、その後は吸入麻酔薬といって、ガスによって麻酔を維持しています。肺から吸収した麻酔薬の一部は脳や肝臓、腎臓に移行しますが残りはまた肺に戻ってきます。


home home